2012-04-22 Sun

先に紹介した本に出てきた3冊の内の1冊目です。昭和23年7月1日に発行された詩集です。この中から、「生きてゐる十人の友の墓碑銘」という詩の一部を紹介しましょう。十人の友とは、堀辰雄、春山行夫、三好達治、小磯良平、一柳信二、小野十三郎、草野心平、黄瀛、安西冬衛、�童串罎任后�これは、小野十三郎についての詩の一部です。
君の大きな凉しい眼に 枯れ葦の川尻や
コンクリートの煙突や 侏羅紀の景色がうつる
哀れな人間がでてくると 君の感動は心臓のなかで始まるらしい
大阪の燒野原 グランドシネマの樂屋口
パイプくわえて 腕くんで
2012-04-22 Sun 14:59 | 古本
2012-04-16 Mon

谷川氏の長い詩人生活の出発点となった作品です。この詩集の初版は昭和27年6月20日で、私が持っているのは8月10日の再版です。詩集で再版というのは珍しいですし、しかも2ヵ月後に出ています。この詩集にある詩を書いていたころ、谷川氏は、今で言うところの引きこもりでした。父親が心配して、お前どうするんだと言ったところ、氏は2冊のノートを差し出します。父親は、これを三好達治に見せたところ、出版の運びとなりました。良かったですね。私も親として、子どもを信じてやりたいですね。
この詩集のタイトルには孤独とありますが、必ずしも暗くはありません。むしろ軽さを感じます。
この詩集は、集英社文庫からも出ていますが、文庫版には、その2冊のノートの写真と、そのころについての氏の文章も収録されています。その中から
「詩人は、詩を書きながら、常に詩を超えたものに渇いているのだ。むしろ、その渇きの故にこそ、詩人は詩を書くのかもしれぬ。」
2012-04-16 Mon 18:57 | 古本
2012-04-16 Mon

これは、稀に見る幸せな人が書いた本といえましょう。何かを集めることが好きな人にとっては、共感できる点が多いと思います。
著者は、物の価値を自ら作り出した人でした。ですので、当然入手時には、世間的には評価されないガラクタということでしたので、とても安く手に入れています。また、見つけたときには、断念しても、何年もしてから入手したりしていて、それを実にうれしそうに書いています。
印象深い言葉として、「もし蒐集が私欲に終われば、持ち方は暗くなり、穢くなり、したがって生活は陰性になる。」、「見る力は金では購えない。金さえあればよい蒐集ができると思うのは愚かである。」などです。特に、金に飽かして蒐集している人を口を極めて罵倒しているところが面白かったですね。
2012-04-16 Mon 18:35 | 古本
2012-04-04 Wed

昭和33年9月10日に発行されたものです。あとがきに私の「小市民詩篇である。ずっと長い病気をしていて、このへんで一区切りをつけたい思いで、この貧弱な私の当時の決算書を作ってみた。」とあります。その中から一つ引用します。
壊れたものが もっとも静かに 壊れていくことをつづけていくようである
私はもう世間に対して さして意見をもたなくなった
そのときから秋になり ちょっと降る雨がひどく冷たくなった
(略)
いつか放射能の話をしていたら 「私はマグロよりイワシが好き」
と云って口をポカンとあけた 私は気にしているのである
あの破れたガラス窓が 破れたガラス窓と向い合って
もういっそう破れるより仕方がないような状況で じっとしずかにしていることが
あの病気の隣人より 私の方がよけい壊れているのであろうか
「壊れたガラス」より
何か黙示録的世界を感じます。
2012-04-04 Wed 18:26 | 古本
2012-03-30 Fri

丹羽文雄の作品は、現在ほとんどが絶版になっています。なんとなく週刊誌に連載されている、風俗小説の書き手的なイメージだったのですが・・・・・・・・
「よい小説、下手な小説のちがいは、その小説が読者にどのような感動をあたえたかどうかできまるものである。ロマンチックな、きれいごとの小説からは、何の感動もおぼえない。小説とは、いかなる形式であろうと反吐をはくものであると思いさだめたならば、そのことにかえって作者にとっては救いがあるはずである。」
このように、自分の作品や小説家の業といったものについて語っています。
気骨のある小説家ですね。かつては、こういう人は文士と呼ばれていましたね。
2012-03-30 Fri 18:34 | 古本
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