2012-06-11 Mon

これも恩田の装幀によるもので、この巻は三好達治が編者です。このシリーズの素晴らしいところは、各詩集の書影が掲げられているほか、発行年月日、発行所名、判型、頁数、定価の記載があることです。但し書影については印刷が悪く、はっきり分からないものもありますが、本巻に収められている詩集の多くは、今では容易に観ることができないものもありますから、貴重と言えます。西脇順三郎の「Ambarvalia」は限定30部でしたし(但し今は復刻版がありますが)、高祖保の「希臘十字」は70部しか発行されていませんでした。よく集められたと思います。
そして、「能ふ限り原型を保存することに努めた。収載した詩篇はすべて初校本を定本として用ひた。」とあります。初校本自体は手に入らなくとも、読めるものもありますが、新字になっているものがほとんどで、この点でもこの本は素晴らしいと思います。
2012-06-11 Mon 18:41 | 古本
2012-06-11 Mon

これも恩地の装幀によるものです。おそらく箱入りと思われるのですが、私が持っているものは、箱はありません。大木は長い自序を書いていて、その中で、「この詩集一巻は、著者が、この四年来の思想的混沌から生まれた時代的苦悶の告白であり、彼自身への、同時代の没落階級への危險信號であり、新興階級の戰勝行進曲の前に、彼が贄として捧げる没落の哀歌である。」と大変勇ましいことを書いています。
「あるVision」から
寒暖計は零度になった
眞昼の日中に
霏々として雪が降ってゐた 風が荒れてゐた
街角に紫の花をつけた潅木が揺れてゐた
うなりながら 赤い飛行機がビラを撒いてゐた
塔の鐘が危險信號を鳴らしてゐた
年月の層を刻む 高層建築の目盛りが罅割れてゐた
マンモンの下僕の群れが そこに蟻のごとく膠りついてゐた
機械の狂氣が ああ やうやく飢ゑてゐた
(略)
2012-06-11 Mon 18:36 | 古本
2012-06-11 Mon

これも恩地の装幀によるものです。恩地は、18歳のころに、竹久夢二にファンレターを出したことをきっかけとして、夢二と交流するようになり、大正12年5月には、夢二らと現代風に言えばデザイン事務所である「どんたく図案社」を結成したのですが、同年9月の関東大震災のために解散を余儀なくされます。
この選集は、1905年から1926年つまり明治38年から大正15年にわたる全作中比較的抒情画としての範囲に入るべきものを選んで編纂したと編者である岩田は言っています。
夢二自身は、「古疵をいぢられるような氣持ちになりたくない」といって、一切を岩田に任せています。
2012-06-11 Mon 18:25 | 古本
2012-06-05 Tue

この本の装幀者も、恩地孝四郎です。三好達治が編んだもので、全集本に収容されている遺稿の類、拾遺詩篇と草稿詩篇以外のすべての詩作を、散文詩も含めすべて年代順に整理して、編輯しています。
そして、「月に吠える」については、再版の序も収容されていますし、作品年譜として、製作年月日、発表雑誌名、その雑誌の発行年月もまとめているというもので、とても充実した内容となっています。
2012-06-05 Tue 19:18 | 古本
2012-06-05 Tue

恩地の本を紹介したので、恩地の手による装幀の中で、もっとも有名な本を紹介します。これは、本来田中恭吉が装幀する予定でした。田中は、朔太郎に、自分のすべての生命の残部を傾注すると約束します。しかし残念ながら、病のために、彼はこの本の完成を見ること無く亡くなってしまいます。ジャケットを飾る画は、田中の「夜の花」という作品で、彼自身もし詩集を出すことがあれば、表紙にしようと考えていたそうです。
朔太郎の「およぐひと」から
およぐひとのたましひは 水のうへの月をみる
なお、この本の初版は、500部しか発行されておらず、かつ自費出版でした。
2012-06-05 Tue 19:15 | 古本
TOP | 6-10/12件表示 2/3ページ : <前のページ [ 1 | 2 | 3 ] 次のページ>