Renkei日記 - 八十島法律事務所

2012-04-04 Wed

天野忠詩集 「單純な生涯」  (コルボオ詩話会)


 昭和33年9月10日に発行されたものです。あとがきに私の「小市民詩篇である。ずっと長い病気をしていて、このへんで一区切りをつけたい思いで、この貧弱な私の当時の決算書を作ってみた。」とあります。その中から一つ引用します。
 壊れたものが もっとも静かに 壊れていくことをつづけていくようである
 私はもう世間に対して さして意見をもたなくなった
 そのときから秋になり ちょっと降る雨がひどく冷たくなった
               (略)
 いつか放射能の話をしていたら 「私はマグロよりイワシが好き」
 と云って口をポカンとあけた 私は気にしているのである
 あの破れたガラス窓が 破れたガラス窓と向い合って
 もういっそう破れるより仕方がないような状況で じっとしずかにしていることが
 あの病気の隣人より 私の方がよけい壊れているのであろうか
                             「壊れたガラス」より
 何か黙示録的世界を感じます。

2012-04-04 Wed 18:26 | 古本

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