Renkei日記 - 八十島法律事務所

2014-07-01 Tue

天野忠 「木漏れ日拾い」 (編集工房ノア) 1988年7月15日刊


 詩人天野の随筆集です。天野の随筆は老いをテーマにしたものが多いのですが、これなどもそうです。
 知人の葬式で、四十何年ぶりで、昔のアイドルに会ったことについて、「ときどき私は、この四十何年ぶりの出会いを目の前に浮かべる。けれども私の前に現れるのは、(略)そのへんの景色まで、いっときにパッと明るくなるような、痛いまでの青春の輝きに溢れた美しいNさんというアイドルである。死者の顔がときとして、はっきり心の中心に生きかえるように、長い重たい時間の複雑な網の目を、一瞬のうちにくぐり抜けて、目の前に出現する『死んだ記憶』もある。
どちらを真実と見るかは、私に残されたせめてもの自由である。」

2014-07-01 Tue 17:45 | 古本

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