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2013-08-09 Fri
加能作次郎「世の中へ」 (新潮社) 大正11年5月28日刊
大変古い本ですが、新潮社の中篇小説叢書の1冊として出された本で、価格は75銭でした。加能は明治18年に石川県で生まれ、いろいろ苦労した挙句、大正7年に読売新聞に連載された、この「世の中へ」という作品で、作家としての地位を確立します。
この作品は、加能の13歳ころから15歳ころまでの生活を描いたもので、自伝的作品です。
主人公は、商売をしている伯父を頼って、石川県の僻村から京都に出てくるのですが、期待に反し、中学に行かせてもらえず、伯父の家で働かされることになります。それまでとは全く違う生活に戸惑い、ろくに口も聞けなかったのですが、最後には「『おい出やあす。おあがりやあす。』『お帰りやあす。』と、声を張りあげて間断なく呼ばはって居る」まで成長するというお話です。
2013-08-09 Fri 18:08 | 古本
<梶井基次郎 「檸檬」 (集英社文庫) 1991年5月25日刊 | TOP | 徳岡孝夫 「五衰の人」 (文春文庫) 1999年11月10日刊>
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