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2013-07-10 Wed
鈴木地蔵「市井作家列伝」 (右文書院) 2005年5月20日刊
著者は、出版社勤務の後、現在はフリーの編集、校正者とあります。つまり評論家ではありません。ですが、各作家の著作の古本との出会いが書かれてあり、それが、こうした文章を書かせたのでしょう。
取り上げられている作家は、木山捷平、小山清、川崎長太郎、小沼丹、葛西善蔵ら16人です。いずれも大作家とはいえないかもしれませんが、根強いフアンを持っています。このラインナップをみますと、どうしても読みたくなってしまいます。
小山については、「決して庶民のつましさだとか、その逆にたくましさだとかだけ描いた小説ではない。(略)面白おかしく登場人物を動かしているのではない。言葉で人間を作り出しているのではないのだ。(略)あくまで言葉を削り、大仰な物言いもなく書き表しているのである。」
また葛西については、「この時代の文学者は等しく人間を描写することの虚しさと非力を味わっていたに違いない。(略)葛西の文学は、読者にも素直な読みこみを許さない。(略)それほどに葛西の文学は複雑であり(略)読者に挑戦しているふうに思われる。」
2013-07-10 Wed 19:06 | 古本
<寺島珠雄 「アナキズムのうちそとで」 (編集工房ノア) 1983年5月10日刊 | TOP | 徳岡孝夫 「五衰の人」 (文春文庫) 1999年11月10日刊>
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