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2012-12-13 Thu
結城昌治「終着駅」 (講談社文芸文庫)2005年9月10日刊
終戦直後、東京の焼け跡で、湿っぽい防空壕で寝起きしてた男が、どぶにはまって死んでいるのが発見されます。その後、この男の知り合いが、位牌を預かるのですが、それを引き受けた男たちも次々と死んでいきます。その中で、唯一戦後も生き延びた男が、ふと生と死の狭間に入り込み、「完全に死ぬとはどういうことなのか。完全に生きなかった者は、完全に死ぬこともできないでいるのか。しかし、完全な生などというものがあるのだろうか。」と述懐するという話です。
結城は若いときに結核にかかり、せいぜい30までの命と思っていたそうです。それが50を過ぎても生きていて、「いったい、俺の人生ってなんだったんだろう、としきりに考えるようになっていました。それを小説の形にしたのが『終着駅』で、これは題名どおり私の“終着駅”という意味も含んでいます。」と言っています。
2012-12-13 Thu 18:35 | 古本
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