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2012-09-21 Fri
高橋源一郎「ニッポンの小説 百年の孤独」(文藝春秋)2007年1月10日刊
著者が、「日本」ではなくあえて「ニッポン」としたのは、この問題が、現実の「日本」ではなく、遠い極東のある国の文学の問題として書こうとしたか、あるいは逆に不変性のある問題として提起しようとしたからかもしれません。
著者は、「文学」という集落に対する違和感と、その集落が没落の過程をたどりつつあるのに、もしかしたら消滅しそうになっているのに、そのことにほとんど誰も気付いていないのではないかということから、マルケスの「百年の孤独」のように、「ニッポン近代文学」の起源を探る旅をはじめたのでした。そうしたら、なんとすでにフタバテイは、「文学」では「真実」を描けないと考えていたのでした。
小説や文学に可能性があるとしたら、「生者たちの公用語」から徹底的に離れ、そのことによって、別のなにものかを指し示すしかないのではないかと、著者は言います。
問題は、仮にそれによって「真実」が描かれたとしても、それがおもしろいのか、感動できるのかということではないかと思いますが。
2012-09-21 Fri 17:41 | 新刊本
<朝山実「アフター・ザ・レッド」 (角川書店) 平成24年2月15日刊 | TOP | 徳岡孝夫 「五衰の人」 (文春文庫) 1999年11月10日刊>
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