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2012-08-27 Mon
武田泰淳 「目まいのする散歩」 (中公文庫) 昭和53年5月10日刊
著者の生前最後の本です。奥さんである武田百合子氏の口述筆記により書かれたものです。印象深い記述をいくつか拾ってみます。
「うすらバカ」、「うすらトンカチ」などという悪口は、悪口ではなくて、わけへだてなく、われわれ人類の上に与えられた神様の批評のように思われてくるのは、恍惚の人のよくない癖である。」
三島さんの死は、ニヒリズムの結果ではなく、川端さんの死は、ニヒリズムの証明であったか、どうか。それをたしかめようとする気持ちは、私にはない。
どこを散歩しても、どこのベンチに腰掛けても、病後の私は笑ったような、笑わないような顔つきをしている。女房は「笑ったような顔をしているけど、本当はそうじゃあなくて、ただ、そういう顔をしているのね。」と名言を吐いた。
2012-08-27 Mon 18:10 | 古本
<川崎彰彦「夜がらすの記」(編集工房ノア) 1984年5月10日刊 | TOP | 徳岡孝夫 「五衰の人」 (文春文庫) 1999年11月10日刊>
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