2013-05-01 Wed
2004年5月から2010年5月までの公式サイト上での日記に加筆訂正したものです。
2007年9月27日午前3時に、早川の音楽上のパートナーとも言えるヴァイオリニストのHОNZIが亡くなります。早川にとって、彼女がどんな存在だったかは、こんな文章で分かります。
「HОNZIの音は、テクニックを披露するような音楽とは違う。やさしい音なのに初めて聴く音だった。意外な音なのに奇をてらうわけではない。かすかな音もよく聴こえ、激しい音もうるさくない。常に歌を生かし、自分を主張するというより、降りてくる音を受け止め、奏でているだけのようだった。悲しみと優しさに包まれている、たましいそのものだった。『HОNZIの音ってシンプルでいいね』と言うと、『シンプルが一番難しいもの』と言った。見えないもの、聴こえないものが音楽なんだということを僕はHОNZIから学んだ。」
早川やHОNZIの作品はネットで購入することができます。彼の言わんとしていることがなんとなく分かる気がします。
2013-05-01 Wed 18:17 | 新刊本
2013-04-20 Sat
作者は、1901年4月10日フランスのカンヌ生まれということですので、梶井基次郎や小栗虫太郎と同年で、一つ下ということになると、久生十蘭、横溝正史や上林暁などがいます。
実生活は、自殺未遂を繰り返すなど、相当過酷であったようですが、小説家としては、必ずしもマイナスではなかったと思われます。
この作品集は、14の短編からなっていますが、晩年の芥川の作品のようです。どの作品も死と狂気と幻想に満ちており、とても面白く読めました。
この人のほかの作品は、サンリオSF文庫などに入っているようですが、高いですねえ。
2013-04-20 Sat 17:08 | 新刊本
2013-04-19 Fri
まあ、その、いつものですね。なぞは解決されないし、結末も曖昧。
でもまあ、さっくり読ませてしまう。実によく売れています。
でも、ノーベル賞をもらうには、もう少し作りこんでもよいのではという気がしますが、余計なお世話ですね。
決してけなしているわけではありません。尊敬しています。
2013-04-19 Fri 22:48 | 新刊本
2013-04-03 Wed
筑摩書房のPR誌「ちくま」に連載していた本に関するエッセイを再編集したものです。
全体を変配の章(キュレーションを応用した章)、直観の章(直観を大事にする章)、世界化の章(グローバリゼーションに関する章)、壊造の章(初期化の章)というように、4つのテーマに分類して紙の本がどのようなことを語っているのかについて書かれています。
どんなことが書かれているかというと、
「近代が終わってしまった現時点から振り返ると、西洋近代自体がキライな人と、その猿まねがイヤな人との、二つの似通ったイデオロギーがぶつかり合ったくらいにしか見えない。」
「人はよく、外国語で話ができると国際交流ができて楽しいとか、別の考えの人たちと付き合えていろいろ学べるとかいうのだが、私は余りそうは思わない。とどのつまり、彼らの言語プールで彼ら流に泳がなければならない。結局、思ったほど自由がきかない。」
「我々のこれからの時代は、いわば『海の向こうから何にも新しいものがやってこない幕末』のようである。」
ほかにも三島由紀夫と加藤周一やハイデガーと朝吹真理子の共通点を見出すなど、とて
も面白い本でした。
2013-04-03 Wed 19:26 | 新刊本
2013-03-18 Mon
著者は、札幌で、現在はネット売り中心で古本屋を経営している方で、日々の厳しい現実をやや自虐的に書いているものです。とくに奥さんとのやりとりが秀逸だと思いました。
例えば、「深夜、妻の助けを借りて寝室の詩集類を片付ける。まとめて置けるスペースはすでにないので、家のあちらこちらに分散して少しずつ積み上げる。が、なかなか作業捗らず、『少なくとも置き場所考えて買えよな。高い金出して、重たい思いして、ホコリだらけになって、疲れてさ、そうまでして買わなきゃいけないもんかね。詩集って。』などという不平不満も聞かれ、だんだんと家の中の空気も険悪となり、殺意にまた火がつきそうな気配が漂う。」とか、「『風邪ひいたみたい。もしかして、無頼派気取ってんの?泥酔して、女房を夜中に冬の路上に引っぱり出して、風邪ひかせて、私小説のネタにでもするつもりなの?古本無頼派になんの?』と妻になじられ『いや、そんなつもりはありませんです。すみませんでした。』と頭を下げておく。うーむ、しかし、古本無頼派って、これはなかなかいいかもしれない、またの呼称は二十一世紀プロレタリア詩人。なーんてな。ああ、この馬鹿をいつまで続けられることか。」
2013-03-18 Mon 22:53 | 新刊本
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