Renkei日記 - 八十島法律事務所

2012-05-30 Wed

杉山平一「詩のこころ・美のかたち」(講談社現代新書)昭和55年4月20日刊


 芸術とは何か、詩は何を表現しようとしているのか、美しいとはどういうことなのかを、模倣、浄化、リズム、反復、一瞬、永遠、隠微といった19の観点から、実際の作品をもとに示したものです。例えば、 
  真似とか、模倣による追体験は、そのまま感動の表現である(模倣)
  我々は、しばしば芸術的感動を語るとき、それが深ければ深いほど、いつの間にか音楽的表現を用いていることに気付くことがある(リズム)
  反復への喜びは、人間の本源的なものに触れつながる、深い感情である(反復)
  抽象図形に、こころの内面の、とらえどころのない、かたちのない気持ちが、顕在化されてくるのである(装飾)
  物そのものを、別の意味にとる抽象化、観念化の作業こそ、芸術の創造というものに他ならない(象徴)
 国語の試験に使えそうだと思いました。

2012-05-30 Wed 17:22 | 古本

2012-05-21 Mon

加藤郁乎 「牧歌メロン」  (株式会社仮面社) 1970年10月15日刊


これは、加藤氏の残した作品の一つですが、前衛句集です。彼は、この本で、この作品は、「句であって、俳諧でも狂句でも一行詩でもない。意味なんてどうだっていいのである。位牌のごときもの、云わんとしている事柄が、有耶無耶のうちに立ち消えになりそうでゐながら、どうにか記憶されるといふ虫の知らせ的な恩寵で立ってゐる」と書いています。
 その句とは、
  ひなぎくくさりす金敷ものはキリエかな
  あひるの家でなんまいだかを衍字まる
  πするいつまで草の小墓な春
  破門ずオルガンだーらの蛆拾遺よ
  漏斗す用足すトマスアクィナスを丘す
  姦字は忸怩る葉がくれなゐの股晴れ
 私はすばらしいと思いますが。 

2012-05-21 Mon 18:54 | 古本

2012-05-21 Mon

加藤郁乎 「後方見聞録」 (学研M文庫)  2001年10月19日刊


5月18日の朝刊に、16日、心不全で著者が亡くなったとの記事が出ていました。この本は、60年代から70年代にかけての、交遊録なのですが、その顔ぶれが、稲垣足穂や澁澤龍彦をはじめそうそうたる人達であり、しかもその内容たるや、まさに衝撃的なものです。
 ご冥福をお祈りします。

2012-05-21 Mon 18:34 | 古本

2012-05-16 Wed

萩原恭次郎 「死刑宣告」 (長隆舎書店)  大正14年10月18日刊


序で、「私は私の詩集に『野獸性なる人間的なる愛の詩集』と名づけたく思ふ程の、いはゆるデカダンを擯斥するものである。」、「一篇の詩は、われ自身の凾の中の音樂を聴くと共に、都會の雑音にまぢる高架鐡道の轟音を聞く。」とありますが、当時都会という概念ができたばかりだと思うのですが、とてもモダンですね。というわけで、この詩集は、左から右に、あるいは上から下にも書かれていますし、写真や版画も入っています。

2012-05-16 Wed 18:04 | 古本

2012-05-14 Mon

伊藤信吉 「詩の旅」  (彌生書房)  昭和47年3月20日刊


詩にうたわれた場所や、詩人ゆかりの地に行き、そこで写した写真と詩、及びこれにまつわる短文を見開きにまとめたものです。
 伊藤は、「専門家ではないので、カメラの技倆も貧弱である」と書いていますが、モノクロ写真が、郷愁を掻き立てられ、詩の風情と実によく合っていると思いました。

2012-05-14 Mon 19:32 | 古本

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