2014-06-19 Thu
ボブディランは、もうギターは弾けなくなっていましたが、今年北海道でもすばらしいパフォーマンスを見せてくれました。
この本は、ラジオたんぱで94年の1月から10月まで流れていた「ボブ・ディラン・クラブ」という20分間のラジオ番組を紙上再現したものです。
鈴木カツが司会で、毎回ゲストを呼んで、「ディランがロック」、「ディランがフォーク」、「ディランのルーツ」、「カヴァーされたディランの名曲」」というコーナーに分け、合間に貴重な録音(どこから入手できたのか不明なものも混じっています)をかけ、マニアックな話をするというものです。
ディレクターの病気により、放送は中止されたようですが、もっと続けて欲しかったですね。
2014-06-19 Thu 19:30 | 古本
2014-04-05 Sat
この本の冒頭で、B級のモットーが掲げられています。切り取ってトイレにでも貼っておいて欲しいと書かれていますので、そうしています(うそ)。
1 推薦盤などまっぴらごめんだ!
2 平穏無事な演奏なんて捨ててしまえ!
3 ドンジャカは生命のほとばしりだ!
4 暗くて死にそうな音楽が最高!
5 ばかばかしいほど明るい音楽は貴重だ!
6 むちゃくちゃな合奏大いに結構!
7 ギチギチの合奏にエクスタシー!
8 アリが這うように遅いテンポは大歓迎!
9 スピード違反もおとがめなし!
10 原典版て何?
11 本場ものは退屈で死んでしまう!
12 みんな、あたしの心の吐露を聴いてよ!
13 機械みたいな音楽だって悪くない!
14 セックス・アピール演奏家の妖しさ!
15 意味不明でどこが悪い!
16 正統的なものは二流だ!
17 知らないことは恥じゃない!
悪趣味はすばらしい。
2014-04-05 Sat 15:24 | 古本
2014-04-01 Tue
これは、今年の2月28日に亡くなったまどみちおの謎について追求した本といえるでしょう。
作者は、昭和53年にまどの代表作である、「ぞうさん」について、戦後という時代の一番美しい部分を、一番深いところから表現しているとして高く評価しました。
ところが、その後本人から話を聞くと、それが間違いであったことに気づきます。まどによれば、「お鼻が長いのねというのは『わるくち』であり、もし世界にゾウがたった一人でいて、お前は片輪だと言われたらしょげたでしょう。でも、一番好きなかあさんも長いのよと誇りを持って言えるのは、ゾウがゾウとして生かされていることがすばらしいと思っているから。」、「自分が自分に生まれてすばらしい、ということをテーマとしている詩が、自分の作品には多い。」といったことを聞き出します。
つまりものの本質をうたっていたわけです。
2014-04-01 Tue 19:40 | 古本
2014-03-29 Sat
この本は、1945年、ハルピンで戦犯としてソ連軍に抑留され、1953年に特赦で日本に帰還した石原が、シベリア各地の捕虜収容所を転々とした体験をもとに執筆した全エッセイを収録したものです。
内容は実にすさまじいの一言に尽きます。
例えば、彼の友人である兵隊が、収容所において、絶食を始めます。彼が絶食を始めた理由というのは、彼が、他の日本人受刑者とともに公園の清掃と補修作業にかり出されていたときに、たまたま通りあわせた市長の令嬢が、これを見て心を打たれ、すぐさま自宅から食物を取り寄せて、一人一人に自分で手渡しました。ところが、「このような環境で、人間のすこやかなあたたかさに出会うことくらいおそろしいことはなかったにちがいない。鹿野にとっては、ほとんど致命的な衝撃であったといえる。」「これが、鹿野の絶食の理由である。人間のやさしさが、これほど容易に人を死へ追いつめることもできるという事実は、私にとっても衝撃であった。」
このあたりは、まったく理解することができません。
この本は、解説で八木義徳が書いているように、人間が最悪の絶望的な状況に置かれたときに、その生きようとする意志は、ほとんど“美”という形まで昇華されるということと、その一方で人間はどこまで無際限に“堕落”し得るものであるかということを教えてくれます。
2014-03-29 Sat 15:55 | 古本
2014-03-27 Thu
こちらは、「角帯兵児帯」から、「敗戦直後満州で作った歌」を除いたものに、「文壇交友抄」、「わが半生記」ほか数編のエッセイを加えた編集となっています。
「文壇交友抄」の中で、蔵原伸二郎について、蔵原の子供が小学校1年生の夏に、朝早く家にやって来て、妙にそわそわしているので、わけを訊いてみたところ、子供が生まれて始めて学校から通知簿をもらってくるので、「家にいてもそわそわするので、わざわざ私の家に来てそわそわしていたわけであった。」とか、
将棋について、井伏鱒二から「君は八段の真似をするね。文章でもポーズで書く人があるね。」と言われたとか、書いています。井伏という人は怖い人ですね。
この文庫の最後に荒川洋治が、「木山捷平は、文学になる以前の言葉のようすにも、思いを寄せつづけた人である。その思いをもつことで、遠近、無数の人を言葉のなかに浮かべることができたのだと思う。」と書いています。
2014-03-27 Thu 19:46 | 古本
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