2014-07-01 Tue
これも随筆集ですが、友人の富士正晴について書いたものの最後に、「無言」というタイトルの短い詩を掲げています。
お前がころっと逝ってしもうて
秋風が吹いてきたいうのに
まだ
うちの貧相な藪蚊が刺しよる。
じゅつないこっちや。
な、
富士よ。
この本を出した当時、天野は、83歳でした。
2014-07-01 Tue 17:50 | 古本
2014-07-01 Tue
詩人天野の随筆集です。天野の随筆は老いをテーマにしたものが多いのですが、これなどもそうです。
知人の葬式で、四十何年ぶりで、昔のアイドルに会ったことについて、「ときどき私は、この四十何年ぶりの出会いを目の前に浮かべる。けれども私の前に現れるのは、(略)そのへんの景色まで、いっときにパッと明るくなるような、痛いまでの青春の輝きに溢れた美しいNさんというアイドルである。死者の顔がときとして、はっきり心の中心に生きかえるように、長い重たい時間の複雑な網の目を、一瞬のうちにくぐり抜けて、目の前に出現する『死んだ記憶』もある。
どちらを真実と見るかは、私に残されたせめてもの自由である。」
2014-07-01 Tue 17:45 | 古本
2014-07-01 Tue
天野が67歳のときの詩集です。
「唄」から
老人にはなるな
老人になるまでに死ね
あとで
うっとりするほど
それが倖せだったと
見事な倖せだったと判る
2014-07-01 Tue 17:28 | 古本
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