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2014-01-07 Tue
アンナ・カヴァン 「氷」 (サンリオSF文庫) 1985年2月28日刊
これは、1967年死の1年前に書かれた、最後の長編です。ストーリーは、世界が氷河期に向かい人類滅亡の危機が迫る中、主人公が一人の少女を追っていくという話ですが、お話で読ませるというものではありません。
翻訳者のまとめにあるように、作者は、自身の個体としてのフィジカルな死と、存在論的な死をみつめるメタフィジカルな視線、そして、それらに対峙する(もしくはそれらを包摂した)氷=外世界の終末という三つの視点を持つ、神秘的な現実=幻想空間を提示しています。
主人公は、「私にとって、現実というものは常にその量を計り知ることのできない存在であった。」と呟きますが、これは作者そのものの独白でしょう。
「生命と無機質の結晶に屈服し、窓外にはただ、死の極寒が、氷河期の凍れる真空が広がっているばかりだ。時間と空間が飛ぶように過ぎ去っていく。ポケットの中の銃の重さが心強い安心感を与えてくれる。」ということで、この作品は終わっています。
2014-01-07 Tue 17:32 | 古本
2014-01-07 Tue
高橋輝次 「ぼくの創元社覚書」 (亀鳴屋) 2013年10月10日刊
著者は、古本に関する多数の著作がありますが、昭和44年から、平成4年まで創元社に勤務していました。
あとがきに代えての中で、「私は今でもときおり憶い出す。大阪市北区樋上町にあった木造二階建ての旧社屋のことを」と書いていますが、内容は、創元社で働いていたときの思い出や、創元社の歴史についての記述は少なく、創元社が出していた本や、創元社にまつわる人々(小林秀雄、青山二郎、隆慶一郎、佐古純一郎、丸山金治、東秀三、保坂富士男など)が出した本について書いています。 同じ著者のほかの著作と同様に、1冊の本から次々と話が展開していき、ひとつの項目が終わったあと、追記もあるというスタイルで書かれています。
2014-01-07 Tue 17:09 | 新刊本
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