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2013-11-30 Sat
長谷川郁夫 「藝文往来」 (平凡社) 2007年2月20日刊
著者は、大学在学中に小沢書店を創業し、数々の良書を世に送り出していたのですが、2000年9月に倒産してしまいます。この本は、それから3年後に、今はなき「彷書月刊」に「日だまり図書館」として連載していたものを中心に編まれた随想集です。
山口哲夫、田村隆一、北村太郎、伊達得夫、長谷川巳之吉ら、文藝に関わった多くの人達のことが取り上げられており、何度も読み返したくなる本です。
「記憶の中の本」から
「本をまとめて売り払った経験が二度ある。(略)2度目は数年前、経営していた会社の状況が思わしくなくなってきたとき。このときは根こそぎだった。(略)いま私は、必要に迫られて失った本を取り戻そうと、古書街を歩く。だがあきらめと欠落感に躓きそうな気分に襲われることがある。蔵書の中に封じ込めておいたあの熱中という名の蒐集エネルギーは、液体が気体となるように蒸発して消えてしまった。私が求めているのは、本当に“本”なのだろうか、と。」
2013-11-30 Sat 18:09 | 新刊本
2013-11-14 Thu
阪本越郎 「貝殻の墓」 (ボン書店) 昭和8年6月25日刊
250冊のうちの1冊で、加宮貴一様と書いてあり、阪本の署名も入っています。加宮貴一という人は、阪本より5歳年下で、戦前に川端康成らと「文藝時代」という同人誌を出していた作家だったようです。
阪本の詩は、昭和初期のモダニズム詩で、今の目から見ると、メランコリックで、甘いということになりましょうか。
貝殻の墓
海は貝殻の墓 青い響で
大型帆船の底にぶつかり
喜望岬の岩を削ってゐる
生をあざけってやるために
この本の装幀は、北園克衛がしています。シンプルなものですが、グリーンの色と、LIBRAIRIE BONという文字がとてもモダンです。
2013-11-14 Thu 19:54 | 古本
2013-11-14 Thu
阪本越郎 「海邊旅情」 (臼井書房) 17年9月5日
この詩集について阪本は、「私の海について歌った作品を主に集めてみることにした。」「私はこれからもう少し、海を歌うことに精出し、海洋への精神を探求したいと思ってゐる。今この詩集はその糸口となるものかと思ふ。」と書いています。装幀は臼井喜之介がしています。
自殺した生田春月に捧げられた「海の遺失」という詩から
「海へはまって死んだとは
さても美しい死に方だ」と
フランスの詩人は言ふのだが
われらの詩人はそこで見えなくなった
さてはやさしい天使だったか・・・・・・
だがだれもそれを知らなかった
彼の死は何も変えなかった
気軽に船を乗せたまま
青い月夜の海は ひろがっていった
さても美しい死に方だ
海へはまって失せたとは
2013-11-14 Thu 19:48 | 古本
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