Renkei日記 - 八十島法律事務所

2012-12-13 Thu

田中啓文「聴いたら危険!ジャズ入門」(アスキー新書)2012年2月10日刊


 いわゆるジャズの入門書といわれるものは、たくさん出版されています。それらのほぼ100パーセントは、マイルスやコルトレーンといったいわゆるジャズの世界の巨人といわれる人たちのことは必ず書かれています。ところが、この本は、マイルス・デイヴィスのアルバムを生涯1枚も聴かなくても、楽しく充実したジャズライフが送れますと力強く宣言しています。そして、著者が、この本で紹介されている、今のジャズを支えているミュージシャンのほとんどを生で聴いているというところがすごいと思います。なにせ、そのほとんどが、フリージャズですから。
 私がこの中で唯一生で見たことがあるのは、サン・ラーだけです。
 確かに著者が言うように、この種の音楽は、「頭で聴く必要がないからです。身体で聴けばいいんです。フリージャズこそ、めちゃめちゃ面白く、なーんにも考えなくても(もちろん考えてもいいんですが)ただただ楽しめる、かっこいい、ガツンとした手応えのある音楽なのです。」と思います。ただそれがわかるには、生で見る必要があるでしょう。

2012-12-13 Thu 18:43 | 新刊本

2012-12-13 Thu

清水良典「あらゆる小説は模倣である」(幻冬舎新書)2012年7月30日刊


 この本の意図は、著者があとがきの中で、明確に述べています。
 「小説に限らず創作の世界には『オリジナリティ』という、一種の信仰のような観念がつきまとっている。真に才能のあるクリエイターは他人の真似などしないし、誰とも違うオリジナルな創作ができるはずだ、という近代的な観念である。しかしこの考え方は、とても危険だ。まったく無邪気にごくありきたりな創作をしても、それを『オリジナル』なものだと信じてしまう『無知な模倣』と背中合わせなのである。それを避けようと考えていくと、『オリジナリティ』に依拠した思想そのものが、じつは壁になっていることに気づかざるをえないのだ。本書が示そうとしたのは、小説が近代小説から脱皮する道を模索することでもある。」と。

2012-12-13 Thu 18:39 | 新刊本

2012-12-13 Thu

結城昌治「終着駅」 (講談社文芸文庫)2005年9月10日刊


 終戦直後、東京の焼け跡で、湿っぽい防空壕で寝起きしてた男が、どぶにはまって死んでいるのが発見されます。その後、この男の知り合いが、位牌を預かるのですが、それを引き受けた男たちも次々と死んでいきます。その中で、唯一戦後も生き延びた男が、ふと生と死の狭間に入り込み、「完全に死ぬとはどういうことなのか。完全に生きなかった者は、完全に死ぬこともできないでいるのか。しかし、完全な生などというものがあるのだろうか。」と述懐するという話です。
 結城は若いときに結核にかかり、せいぜい30までの命と思っていたそうです。それが50を過ぎても生きていて、「いったい、俺の人生ってなんだったんだろう、としきりに考えるようになっていました。それを小説の形にしたのが『終着駅』で、これは題名どおり私の“終着駅”という意味も含んでいます。」と言っています。

2012-12-13 Thu 18:35 | 古本

2012-12-13 Thu

2012-12-13 Thu 11:43 | -

2012-12-13 Thu

2012-12-13 Thu 11:39 | -

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