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2012-10-05 Fri
加藤郁乎編 「吉田一穂詩集」 (岩波文庫) 2004年5月18日刊
詩人吉田一穂は、1898(明治31)年8月に、現在の北海道木古内町で生まれ古平町で少年時代を過ごしています。1973年1月に74歳で没しています。
編者である加藤は、吉田のことを、感性とか抒情などに没することなく、思考本位の詩人、絶対詩の世界にいた人と評しています。また吉田の、「詩は三行でよい。天と地と人―生物、生命です。」、「詩作とは、一語一語躓くことだ。」といった発言を紹介しています。 なるほど、彼の詩は難解ですが、とても力強いのが特徴でしょうか。
「咒」から
霾(つちふる)る逆天の地 掌に占で見析くる地平線
捜す薬草も無く 時劫の陥隙に石斧は埋もれてゆく
棘々と星を結晶させる白林の梢で 月が虧(かけ)ていった・・・・・
骨を焙て 雀の卵を温める 「鶴に孵(な)れ!」
2012-10-05 Fri 17:00 | 古本
2012-10-05 Fri
吉田一穂 「海の聖母」 (金星堂) 大正15年11月15日刊
所持しているのは、渡辺書店が昭和48年10月15日に発行した複製版ですが、限定600部の内の1冊です。これが第1詩集で、吉田が21歳のときに出した作品集です。この素晴らしい装幀は亀山巌で、助纂(編集を手伝ったという意味でしょうか)は春山行夫とあります。
「都市素描」から
曙人の荒い呼吸に都市は炎上する
あ々熱闇に立つ血の十字架
世紀はまた新たな戦慄を堕胎しつ々
有機解體の癈頽期へ分裂し下降してゆく
2012-10-05 Fri 17:00 | 古本
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