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2012-08-31 Fri
これも上林フリークによるアンソロジーで、タイトルから分かるように、酒にまつわる作品から選んでいます。
選者は、大学院を出た20代の終わりころ、小林信彦が、かつて筑摩書房の全集を読破したことがあると何かで書いていたのを読み、小林氏ほどの読書巧者が全集を読破してしまうとは、かなり面白いのに違いないと思い、チャレンジしてみてはまったと書いています。
この本は、選者の解説とともに、日本文学者のスタンレー鈴木の評論が載っています。そこで彼は、「ジェイムズ・ジョイスが何百頁も費やして描こうとした神話なき現代の神話世界を、上林は、わずか数十頁で描き尽くしている。」と書いています。
選者が書いているように、貧乏くさくても「ミニマルな世界こそが、日本人が、日本人に特有の、ある、深遠で永遠なるものに近づける道」なのかもしれません。
2012-08-31 Fri 18:29 | 古本
2012-08-31 Fri
同じ選者による上林暁のアンソロジー第2弾で、今回は随筆から選んでいます。選者は、「上林は何冊も随筆集を出していますが、この本がこれら珠玉の随筆集の中にあっても色あせないで、長く読み継がれていくなら、選者としてこんなうれしいことはない。実際そのように夢見ながら、作品を選んでいったのだった。」と書いています。
上林は、戦争前も、戦争中も、戦争後も、古本屋歩きは、私の最大の道楽だったと書いていますが、古本についての話しや、知人の作家の話など、どれもおもしろい内容となっています。
選者が上林の文学にのめり込むきっかけとなったのは、「武蔵野」(現代教養文庫)を読んだことだったと書いています。いつだったかちらっと見てるんですが、そのときはなぜか買いませんでした。失敗でしたね。
2012-08-31 Fri 18:25 | 新刊本
2012-08-31 Fri
一人の小説家のアンソロジーですが、選者がどういう視点で作品を選んだのかが最大の見所でしょう。選者は、「身体の中には上林暁が入っているので、少し大げさに言うと、上林の作品なら何を読んでも、どの小説を読んでも楽しめてしまう。」と書いています。多くの作品の中から、7つを選び出すことは、苦しくもかつ楽しい作業であったことが想像されます。
さて選んだ理由ですが、最初の「花の精」は、最も好きな小説のひとつとあります。上林には、病妻物と呼ばれている作品群がありますが、そこからは最小限に抑えたということで、二つの作品を取り上げています。井伏鱒二は、二度目に倒れてからのものが一段といいとどこかで書いていて、選者も全面的に賛同し、その時期のものから一篇選んでいますが、初期のころの若々しい抒情的な作品も捨てがたい魅力があるとして、昭和6年に書かれた、この本のタイトルにもなっている「星を撒いた街」を選んでいます。
2012-08-31 Fri 18:21 | 新刊本
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●地下鉄東西線「西11丁目駅」下車
3番出口直結 南大通ビル9階
●市電「中央区駅前」停留所より
徒歩約2分
●近隣に有料駐車場有り
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