Renkei日記 - 八十島法律事務所

2012-05-07 Mon

許光俊「クラシックがしみる!」 (青弓社) 2012年3月18日刊


 雑誌連載時のタイトルは、「音楽の誘拐」でした。これは、「音楽」を、それが今置かれている、あるいはかつて置かれてきたぬくぬくした状況の中から拉致し去り、別のコンテクストやニュアンスで語らせようという意味を込めたものと著者は言っています。例えば、
 「多くの聴衆が求めているのは、指揮者が大きな身振りで踊ってみせ、達者なオーケストラが大きな音やテンポの煽りで興奮させてくれるエンターティンメントであって、耳を凝らして聞き取るような繊細な美や、知的なおもしろさではない。」、「人生においては、邂逅の神秘を満喫し、だがそれは決して永続するものではないと肝に銘じるしかない。本当に貴重なものとは、失われたものなのだ。」、「今私の手元には、3万円ほどで購った80枚組のセットが転がっている。グールドが行った正規の録音のすべてが含まれているらしい。それはカラヤンがちょうど20年前、最後に日本で演奏したときのチケットの値段とほぼ同じなのだ、という事実は改めて驚いてもいいことなのかもしれない。」
 しみますね。

2012-05-07 Mon 17:59 | 新刊本

2012-05-07 Mon

許光俊他「クラシック反入門」 (青弓社) 2009年4月10日刊


 クラシックミュージックに限らず、至上の喜びを味わうには、しばしば艱難辛苦がつきまとうものです。しかも艱難辛苦の末に、目標に到達できないことだって多いわけです。
 この本は、作曲家の病的な妄想に付き合え、知識がなくてわかるものか、このしつこさに辟易するなどと言いつつ、曲の聴きどころやポイントを照会していく立派な入門書となっています。
 マーラーの交響曲第9番については、芸術にとって、実は個や人間は不要なのであり、芸術を断念することで人間は生き延びたと書かれています。

2012-05-07 Mon 17:56 | 新刊本

2012-05-07 Mon

許光俊「問答無用のクラシック」 (青弓社) 2007年3月23日刊


 著者は、「問答無用とは、何でもかんでも切り捨てて殺してしまうという意味ではない。ある一瞬の邂逅。そのすれ違いの瞬間に相手の本質を見極めようとするが、それが見えたか見えないか、またたく間に離れてしまっている。そういうイメージである。邂逅やすれ違いはただ一瞬起きるだけであって、再現不能であり、問答など起きようはずがないということ。」と言っています。まあ、当て逃げに近いですね。例えば、
 「基本的には、日本は、お金がないと快適が手に入らない国、ひいては幸福になれない国なのだ。そして人々は、こうした構造そのものを変えようとせず、自分がお金を儲ければいいのだと考える。典型的にアジア的である。いったい豊なのだかそうでないのか、分からないようないびつな風景画に日本中にあふれている。」
 一応、クラシックの評論となっています。

2012-05-07 Mon 17:53 | 新刊本

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