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2012-04-04 Wed
天野忠詩集 「單純な生涯」 (コルボオ詩話会)
昭和33年9月10日に発行されたものです。あとがきに私の「小市民詩篇である。ずっと長い病気をしていて、このへんで一区切りをつけたい思いで、この貧弱な私の当時の決算書を作ってみた。」とあります。その中から一つ引用します。
壊れたものが もっとも静かに 壊れていくことをつづけていくようである
私はもう世間に対して さして意見をもたなくなった
そのときから秋になり ちょっと降る雨がひどく冷たくなった
(略)
いつか放射能の話をしていたら 「私はマグロよりイワシが好き」
と云って口をポカンとあけた 私は気にしているのである
あの破れたガラス窓が 破れたガラス窓と向い合って
もういっそう破れるより仕方がないような状況で じっとしずかにしていることが
あの病気の隣人より 私の方がよけい壊れているのであろうか
「壊れたガラス」より
何か黙示録的世界を感じます。
2012-04-04 Wed 18:26 | 古本
2012-04-04 Wed
中山康樹 「かんちがい音楽評論」 (彩流社)
著者は、最近本を出しまくっている元「スイングジャーナル」の編集長です。
「日本はいま、『洋楽は定着しなかった』という結論に向かって進んでいる。」
「音楽評論家以外の人たちが音楽について書くことが一般化し、その結果、『音楽評論というもの』の形や概念が崩壊した。」
「いかに多くの『NO』を抱え込み、書き、伝えることができるか、そうすることによって、はじめて本来の『YES』が伝わるのだろう。」
「難解だからこそ楽しいものもあるという価値観は、いつ、消されたのか。」
ここでも、現代社会の抱える問題が、音楽評論という世界を通して語られています。我々は、被害者であると同時に加害者でもあるわけで、そこにやりきれなさを感じますね。
2012-04-04 Wed 18:21 | 新刊本
2012-04-04 Wed
騒恵美子 「ライブ アット 騒」 (株式会社ディスクユニオン)
著者は、70年代の終わりから80年代の初めにかけて、ライブハウスのオーナーをやっていた方で、表現行為に対する真摯な姿勢には、ものすごいものがあります。
興味深いのは、阿部薫や鈴木いづみとの交流について書かれているところで、阿部については、こんなことを書いています。
彼の音は、いつもこんな問いかけをしてきた
―お前は本当に自分と向き合い、自分が何者かを見つめる作業をしているか。
何処から来て何をするために生かされているのか、真剣に考えながら
今、この瞬間を生きているのか。―
だから阿部の音は怖かった。
阿部が亡くなった今となっては、その音の真実性を確認する術がありません。
著者も2011年10月20日に亡くなっています。
2012-04-04 Wed 18:16 | 新刊本
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