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2011-09-08 Thu
松浦寿輝 「不可能」 講談社
三島由紀夫と思しき人物が、27年間の服役を終えた後80歳を超えて社会に戻ってきたらという設定で書かれています。
著者は、新聞のインタビューで、「(この)小説には、私自身の夢想も入っていて・・・・・(主人公に)夢を託したんです。」と答えています。
しかし、その夢想が、石膏の人体模型だったり、塔で月の光を浴びることだったり、秘密クラブだったりと、これを幽遠な幻想性が漂うと褒めている人もいますが、ちょっと陳腐な感じがしましたね。まあ27年間社会と断絶していた老人の夢想だとすれば、それもありなのかもしれませんが、そんなリアリズムは感じられません。
読み進むにつれて、三島とは関係なくなってくる感じです。あの最後のバルコニーでの演説を思わせるシーンも出てきますが。
もし老いの問題について書きたかったのであれば、何も三島をモデルにしなくてもと思いました。
2011-09-08 Thu 17:30 | 新刊本
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