2011-09-27 Tue
散文選とあるように、山田氏がこれまで書いてきたエッセイなどから、堀江敏幸氏が選んで1冊としたものです。昨年出た「マピヨン通りの店」(編集工房ノア)からも1篇とっています。
堀江氏も解説で書いていますが、山田稔は、固有名詞であると同時に、一つの文学ジャンルであるといえます。
出会いに手続が必要なように、別れにも手続が欠かせません。そんな視点から選ばれた各篇は、どれも美しく、切ない想いにさせられます。
2011-09-27 Tue 18:00 | 新刊本
2011-09-27 Tue
詩人の荒川さんは、これまで多くのエッセイや書評を書いており、たいていのものは読んでいますが、「詩」について語ったものは、それほど多くないと思います。事実、この本が出た時点(1988年12月)で、初めて純粋に詩論だけを集めた本とあります。
詩について書かれた本には、難しく書かれたものが多いのですが、その点、この本は比較的分かりやすいように書かれています。
「詩」とは何かについてですが、荒川さんは、「ことばになっているところより、ことばになっていないところ、つまり余白の部分にひろびろとした世界があることを表わすこと、ただそれを表わすのは有限のことばなのだ。コピーは、いかに詩的なものをかもし出したとしても、そこにはことばの限りを尽くすというこころざしがない、同時におもいの限りをそこで尽くそうというこころざしもない。」と書いています。
2011-09-27 Tue 17:40 | 古本
2011-09-10 Sat
いや、この手のものは、受けると思います。帯には、「最高傑作、完璧。永遠にこの世界にひたっていたい。気がつけば涙!」とありますし、新聞の書評でも「物語ることによって世界が変わりうるということを、これほど鮮やかに切実に伝えてくれる短編にはなかなか出会えるものではない。」と書かれています。世界ってそんなに単純なのかという突っ込みはさておき、私が一番感心したのは、ジャケットで、四谷シモンの人形の写真が使われていて、著者自装とあります。これが素晴らしい。
2011-09-10 Sat 11:32 | 新刊本
2011-09-10 Sat
ハヤカワ文庫は、SFと全く関係のないエッセイも出していたんですね。
この本は、スクラップについて書かれたエッセイですが、内容もさることながら、ジャケットがよいですね。安西水丸氏の作です。
2011-09-10 Sat 11:26 | 古本
2011-09-08 Thu
三島由紀夫と思しき人物が、27年間の服役を終えた後80歳を超えて社会に戻ってきたらという設定で書かれています。
著者は、新聞のインタビューで、「(この)小説には、私自身の夢想も入っていて・・・・・(主人公に)夢を託したんです。」と答えています。
しかし、その夢想が、石膏の人体模型だったり、塔で月の光を浴びることだったり、秘密クラブだったりと、これを幽遠な幻想性が漂うと褒めている人もいますが、ちょっと陳腐な感じがしましたね。まあ27年間社会と断絶していた老人の夢想だとすれば、それもありなのかもしれませんが、そんなリアリズムは感じられません。
読み進むにつれて、三島とは関係なくなってくる感じです。あの最後のバルコニーでの演説を思わせるシーンも出てきますが。
もし老いの問題について書きたかったのであれば、何も三島をモデルにしなくてもと思いました。
2011-09-08 Thu 17:30 | 新刊本
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