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2011-06-16 Thu
尾形亀之助 色ガラスの街
1年ほど前にこの詩集を手に入れました。勿論復刻版です。オリジナルは、大正14年11月に発行されており、たまに市場に出ることがありますが、とても高くて手が出ません。ただこの復刻版は非常に良くできていて、昨今の味気ない印刷物とはかなり味わいが異なります。
さてこの詩集は、尾形の第1詩集で、「夢のやうに美しい」(当時の広告のコピーより)詩集です。この詩人については、辻潤、高橋新吉、草野心平らが語っておりますが、まとまった評伝として、正津勉の「小説尾形亀之助」があります。正津氏は詩人ですので、かなり立ち入った作品分析もしておりとても面白い読み物となっています。
彼は一時絵を書いていたことがあり、その作品の一つが左の写真で、大正11年作で、タイトルは「化粧」となっています。このとき彼は22歳でした。
優れた芸術家の多くは、生活能力がなく、性格的にも破綻していますが、彼もご他聞に漏れず、そうした面があったようです。実家の破産(東北の造り酒屋でした)によって、彼の生活も立ち行かなくなり(それまでは実家の援助で生活していました)、最晩年に役所に勤めるのですが、勤まらず、42歳で、誰に看取られることもなく亡くなっています。死因は、全身衰弱による窮死とのことです。そう、辻潤と同じでした。
秋は、綺麗にみがいたガラスの中です。
2011-06-16 Thu 18:16 | 古本
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