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2011-06-03 Fri
辻潤エッセイ選 絶望の書 ですぺら
前回、中原昌也は辻潤に近いと書きましたが、瓜二つではないかと思っています。それは例えば、「私にはだがどうも今の日本で製造される文学が大半なくなっても別に苦にはならない。なにを読んでも面白くないのだから。」「意味があるということは必ずしも価値のあるということにはならない。千年も前に腐れ果てたような意味を今さらながら繰り返したところで、別段価値があるわけじぁあるまい。」(ですぺら1924年3月)、「なぜもっと書かないのか?書きたくないから書かないのだ。なぜ書きたくないのか?書くことがないからだ。なぜないのか?書くに価することがないからだ。」(ものろぎや・そりてえる)、「私は自分の信じることもできぬ主義をふりまわしたり、感じもしないことを饒舌ったりすることはどうしても出来ぬ性分である。」(にひるの泡1927年3月)といったところに現れていると思います。こうしたものを読むと、時代の雰囲気というものが今と変わっていないし、同じように閉塞感を感じている人がいるんだなあと思います。
彼は昭和19年11月24日にアパートで餓死し翌日に見つけられています。助けを求めることも出来たでしょうに、おそらく緩慢な自殺だったのではないかと思います。
2011-06-03 Fri 20:18 | 古本
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